
かき養殖は広島県の重要な産業のひとつであり、日本のかき養殖生産量の約60%が広島産で占められています。
この事実は、いかに広島のかき養殖環境が優れているかの証でもあります。
しかしそれだけではなく、広島のかき養殖は約400~450年もの長い歴史のなかで多くの先人が培ってきた様々な知恵や努力によって支えられてきました。
味に関しても、他産地のかきは比較的大味なのに比べ、広島産特に宮島周辺のかきは、濃厚かつ繊細なかき特有の味がより豊かに感じられます。
広島湾西部に位置する大野の海では、牡蠣やあさりなど貝の養殖が大変盛んですが、その背景にはえさが重要な役割を果たしています。貝はろ過性捕食者と呼ばれ、大量の海水を一度に飲み込み、えさとなる植物プランクトンを濾(こ)しとって食べます。
広島湾は瀬戸内海の中でも特に植物プランクトンが多く、カキ養殖に最適な環境が整っていると言えます。
植物プランクトンの生産量は海流や陸(河川)からの栄養の供給などに依存します。
河川から流れこむ淡水には、植物プランクトンを増殖させる栄養塩(窒素、リン、その他の微量栄養素)が豊富に含まれています。
特にかきの重要なえさとなる植物プランクトン、ケイ藻は大地を流れてきた河川水の増減に敏感で、水量が少なくなると減少し、場合によっては赤潮や貝毒の原因となる有害な植物プランクトン・べん毛藻が増加します。
ケイ藻を増やし、維持して、赤潮を防ぐには大地を流れてきた河川水が必要不可欠なのです。
また、瀬戸内海の島や岬に囲まれた地形は河川から運ばれてきた栄養塩が外洋に流れ出ていくのを防ぐ役割も果たします。
当社の漁場である宮島周辺の海域は、広島県の一級河川である太田川、小瀬川、隣接する山口県の今津川に挟まれ、さらに原生林の残る宮島からは直接山水が流れ込むかきの養殖環境としては最適の漁場と言えます。